ランチェスター法則といわれるものは、フレデリック・ウィリアム・ランチェスター(1868年~1946年)というイギリスのエンジニアが発見したものです。飛行機の研究も行っておられ、第一次世界大戦が勃発したときに、まだ複葉機の時代でしたが独立した戦略空軍の必要性を発表しました。技術者としての先見性、予見力は優れていたと思います。この論分で、「近代戦争の条件下では、その部隊の戦闘力が、兵力数の2乗によって計られる」という「N2乗法」も発表されました。これが、後にランチェスター法則と呼ばれるものです。
ランチェスターの発見した第一法則,第二法則は,その後第二次大戦中,アメリカ海軍に動員されたコロンビア大学のコープマン、プリンストン大学のモース、キムボールなど数学者による作戦研究のプロジェクトチームの手によって研究が進められました。オペレーションズ・リサーチ(OR)といわれる実際的問題解決法の始まりでもあります。
近代戦では、兵力や武器の補給,武器の開発・生産などの要因が発生することを考慮して,数々の修正を加えながら、ランチェスター戦略モデル式が作成されたのである。
兵器を作る生産力は、直接戦闘場面で対応する力の領域ではありませんが、兵器の数や性能を規定する前提条件になります。輸送力も兵士や武器、食料を実際の戦闘場面に移動させる力であり重要である。
間接的な戦闘力を「戦略力」、直接的な戦闘力を「戦術力」と考えたのです。
ランチェスター法則の武器効率を、戦略モデル式では生産率の比に置き換え、攻撃力を「戦略力」と「戦術力」に分けて考えたところにORチームの優れたところがあります。
直接敵軍の戦術力に加える攻撃ではなく、戦闘機を製造している工場や交通網など、敵国の補給力・産業生産能力を攻撃するのが戦略攻撃(爆撃)です。人心惑乱を含め、敵の戦争遂行能力・戦意を消失させるのが狙いです。
最小の損害で最大の成果を上げるには、全戦闘力の三分の二を「戦略力」に、三分の一を「戦術力」に配分すべしと計算しました。
戦略力:戦術力=2:1、つまりわかり易くいえば「戦略7分に戦術3分」です。
生々しく物騒な話ですが、「戦略力2、戦術力1」という戦闘力配分の原則は、市場競争力の問題にも当てはまります。
戦略力とは、地域戦略、商品戦略、顧客戦略、流通戦略、価格戦略などの見えざる意思決定の領域のマーケティングパワーです。
戦術力とは、戦略を展開するための目で見える行動であり、セールスマンの営業活動、宣伝・広告、店舗の陳列となります。
戦術に展開される見える仕組みの前に、見えざる戦略領域による競争があり、このウェイトが高いということを見落としてはならないのです。
店舗・看板、ロゴ・チラシにお金をかける前に、じっくり戦略を練りこんで下さい。
☆ ランチェスター戦略モデル式 ☆ (米海軍ORチーム)
最小の損害で最大の成果を達成するためには、全戦闘力の三分の二を「戦略力」に、三分の一を「戦術力」に配分すべしと計算しました。
特定二者間の、一騎討ち戦、局地戦においては、相手の3倍の戦力を集中投入すれば勝てるという、「必勝の数値」「圧勝の数値」を導き出しました。
(1:√3=1:1.7、30:50、確立戦の場合の圧勝の数値)
戦後の日本の品質管理・統計的手法の指導に当たられた、デミング博士がOR手法の導入の必要性を勧められ、「オペレーションズ・リサーチの方法」が翻訳される。ランチェスター法則が再発見され、経営に応用実践されて行きます。
品質管理のデミング博士により、ランチェスター法則が日本では経営に応用されるきっかけができました。