与信管理コンサルタント 瀬川 泰弘
足元チェック(自社の与信管理体制をまず見直す・丸腰販売ではないか)
大口得意先の手形が不渡りになっても資金は用意できるか。
売掛債権未回収分を穴埋めできる利益体質かどうか。
担保・保証・売買基本契約書・与信限度枠のある手形取引か。
営業マンが支払日・月末など、得意先を時間差で観察しているか。
営業マンから得意先の在庫や支払い振りの報告を聞いているか。
得意先の登記簿謄本を取得するなど定期的なチェックはしているか。
長期的観察ポイント(会社の性格・傾向)
販売先の社長が本業に時間をどれくらい投入しているか。
販売先の社長が戦略実力を高める努力をしているか。
後継者とされる人物に力量はあるか、ブレーンはいるか。
電話の応対はよく、朝の挨拶は明るい感じか。
従業員の定着率はよく、意欲的か。
倉庫・工場が整理され、商品の取り扱いは丁寧か。
戦略的一位作りに取り組んでいるか。
見込み客発見・顧客維持に熱心であるか。
体質に合ったメインの金融機関とよい関係を持っているか。
不動産の担保設定状況から担保余力はあると考えられるか。
中期的観察ポイント(会社の対応力・場合によっては要注意)
代表者の交代がスムースにできたか。
幹部の退職者、独立者があればその動向に問題はないか。
経営者が本業以外に資金を使っていないか。
新工場・新設備など過大な設備投資はなかったか。
工場・営業所の閉鎖や縮小が戦略的に妥当なものであったか。
得意先の販売先に問題のあるところはないか。
主力商品がライフサイクルから見て競争力はあるか。
本業と関係のある期待商品作りをしているか。
支払いの変更の真因・経過をつかんでいるか。
得意先のメインバンクに変化はないか。
短期観察ポイント(会社の危険度・精査が必要)
社長・経理担当の不在が増えた(銀行回り)。
仕入先の変更・安値販売・受注(換金しやすい商品の発注増は危険)。
納品や検収の対応が変化(焦りからずさんに)。
工事トラブル・大量のクレーム返品・大口の貸し倒れ。
従業員の態度が急変(暗い話が多くなる)。
(トイレの掃除、生け花の取替えなど、気持ちの余裕がなくなる。
はっきりいってどうでもよくなってくる。会社・上司の悪口も
公然とされたりするのは、人間は正直だから)
支払日の変更・手形期日の変化・手形のジャンプ。
手形の決済銀行が変わった。
金融機関への担保設定でなく取引業者の担保設定がされた。
債権譲渡登記の設定の背景が不審。
不動産登記の担保権者に個人名が(街金・闇金の可能性)。
・営業マンに、「得意先の応接室とトイレをよく見てこい」と言われるのは、店先であしらわれるな、懐に入れ、長居をすればこそトイレを借りやすくなる、初めは時間をかけて観察せよ、ということからなのでしょう。よそ行きの応接室と普段着のトイレとのアンバランスがあれば「おかしい・臭う」という端緒がつかめるかもしれません。履物は揃えてつま先(頭)は玄関に向けてという、しつけや生活習慣はわかるでしょう。戦前の商家でも「便所を借りてこい」といわれていたようですが、それは水洗式になるまでは店主の健康状態も観察できたからのようです。急に掃除が行き届かなくなったとしたら、その変化は見逃せないです。得意先のトイレが汚ければ掃除をしてこいとまでは言われてませんが。
・得意先がはっきり危なければ退くのが賢明でしょう。しかし、その前に販売先へ商品提案ができるのも営業マンです。危なくならないための手助けもしてあげて下さい。コンサルティングセールスをして、得意先への営業改善提案をしても、受け入れられなかったら、退くのも遠慮なくできるでしょう。決算書・登記簿に兆候が表れる前の、在庫・ライバル情報・業界情報などは営業マンしか掴めないと言っても過言ではありません。営業マンの役割は大きいのです。